災害については地震・暴風・出水・旱魃・火災・爆発をはじめ流行病
の蔓延など多々あげることが出来るが、何といつても当区がデルタ河流
の臨海地帯にある関係から古来より暴風・高潮による災害がもつとも大
である。特に此花区・西淀川区・福島区等往昔大河尻と称せられた地域
はたとえ上流で堤防の決潰をみても洪水禍に悩まされた。徳川時代に入
つて元和五年左門殿川、貞享元年安治川、宝暦九年正蓬寺川・明和四年
六軒家川等の新川開さくをみたのも淀川流末における諸川の疏通を図る
ためであつた。明治に入つても元年の大洪水、四年の洪水・高潮（春日
出新田・四貫島村の中津川の堤防決潰）十八年の大洪水等があり、十一
年には神崎川付替工事、三十一年以来新淀川改修の大工事が行われた。
その後大正六年にも洪水禍があつたが、昭和に入つて室戸台風・ジエー
ン台風等の大暴風が襲来し、その上猛烈な高潮を伴うたため非常な惨禍
をうけた。
かくて水禍から工業都を守るため、防潮堤の築造、嵩上工事、あるい
は地盤沈下に対処して工業用水道の建設等につとめると共に、淀川左岸
水軍予防組合の活動等万全の方途が講ぜられた。なお爆発事故としては
大正六年五月五日東京倉庫（現福島区安井町）の大爆発があり、死者四
三名負傷者三五四名、家屋全壊五八戸、半壊六二戸を出し、所有者岩崎
小弥太が百万円の見舞金を提供したことがあつた。
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