『大阪春秋 第１３１号』新風書房 2008.7 より
２ 今日の〈ミナミ〉イメージ
今日の〈ミナミ〉イメージを探るため、インターネットで検索してみた。すると、戎橋筋商店街振興組合の公式ＨＰが目にとまった。以下、その見開き頁の記述を紹介する。
●「大阪「ミナミ」とは？ ／大阪ミナミの初めの一歩「戎橋筋商店街」／大阪を代表する２大繁華街の一つで、一般に難波から千日 前、道頓堀の範囲を指します。都会的なキタ（梅田周辺）にくらべ、ミナミは、「食いだおれの街」と呼ばれるだけあって、エネルギッシュで庶民的な大阪コテコテカラー満載の エリアです*5。
これには、都市観光のエリアとしてのミナミイメージを喚起する「食いだおれの街」「エネルギッシュ」「庶民的」「大阪コテコテ」といったフレ−ズが盛り込まれている。これらのフレーズは、今日の〈ミナミ〉イメージを読み解くキーワードである。
今日では、観光ガイドブックによって都市型観光も商品メニューの一つとして提供されているが、国内の観光旅行が盛んになる契機は、旧国鉄による旅行宣伝のキャッチコピー『いい日旅立ち』に求められる。このキャッチコピーが山口百恵によりリリースされたのは、昭和五三（一九七八）年のことである。これ以降、国内旅行の商品化が一段と加速された。観光ガイドブック『エアリアガイド24大阪』（昭文社）が刊行されるのは、一九八二年九月である。
以下、一九八〇年代以降の記述については、昭文社『エアリアガイド大阪』『たびまっぷる大阪』、一九九四年刊行開始のＪＴＢ『るるぶ大阪』のエリア記事（店舗記事は原則的に除く）と照合しつつ、ミナミをめぐる文献資料によってＨＰ情報を検証してゆきたい。
*5 戎橋筋商店街振興組合の公式ＨＰ http://www.ebisubashi.or.jp/map/index.html